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食をおいしくする
酒造り

​伝統的手法

私たちの酒造りに欠かせない伝統的手法をご紹介します。

生酛造り

「生酛造り」は江戸時代に現在の兵庫県・灘で確立された日本酒の製法の1つです。「食をおいしくする」ためにはまず日本酒が料理を受け止めなければなりません。「生酛造り」を用いると現代の製法にはない懐の深い味わいが生まれ、それは幅広く料理を受け止めます。またこの方法で育った酵母菌は発酵する力が強く、日本酒に「きれ味」を生むと同時に「熟成」に耐えうる強い足腰を備えます。私たちの酒造りになくてはならぬ存在です。
高度な技術と労力や時間を要するため一時廃れましたが、竹鶴酒造は本場灘の方法を平成16年(2004年)に広島県下で初めて復活させました。また現代の日本酒造りでは酵母菌を添加することが常識ですが、私たちは酵母菌の存在が分からなかった江戸時代同様に酵母菌無添加で行い、追従する酒蔵も多く生まれています。

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Hakkou

木桶仕込み

現代の日本酒造りでは温度管理・衛生管理が容易な金属製タンクを用いるのが主流の中、「小笹屋竹鶴」シリーズの生酛造りによる商品では平成21年(2009年)から昔ながらの「木桶」を用いています。木桶による醸造は衛生管理に労力を要しますが、木桶表層の多様な微生物が活動し、重層的で複雑味をもった日本酒が生まれます。豊かな味幅は食中酒として様々な料理をおいしく味わうために必要な要素です。
また木桶を用いると酵母菌の生み出す香味に変化が生まれるとともに、食中酒として不要な料理の個性を妨げる香りが減少します。
木桶使用の目的は豊かで奥行きのある味わい、「食をおいしくする」竹鶴の酒らしさを求めてのこと。単なる懐古主義ではなく、私たちが求める酒を醸すための大切な手段です。酵母菌無添加の生酛造りをこの木桶で行った「酵母菌無添加生酛造りの木桶仕込み」はひとつの流行にもなりました。

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純米酒

日本酒の原料は本来お米だけでしたが、第二次世界大戦中に食糧難からサトウキビ等から作られた醸造アルコールを添加して増量することが始まります。食糧難を脱した現在でも日本酒の半分以上に醸造アルコールが添加されていますが、竹鶴酒造ではアルコールが加わった分だけ折角醸し出した「うま味」が弱まるとの考えから、平成28年(2016年)より全商品が醸造アルコールを添加しない「純米酒」に致しました。広島県では戦後初めてのことで、現在も県下で唯一の存在です。
純米酒は日本酒本来の姿ですが、これも単なる懐古主義ではなく竹鶴らしさを表すには不可欠なやり方です。

麹蓋

米にカビの一種の麹菌を植え、様々な酵素を作らせたものが米麹です。日本酒ならではの上品な甘味やうま味を生むためには丁寧な麹造りが大切になります。加えて竹鶴酒造では、麹菌を一般より多く用いてしっかりと育てます。その結果「うま味」「きれ味」「酸味」が揃った竹鶴の味わいが醸し出されます。そのため竹鶴酒造では麹造りに伝統的な「麹蓋」(こうじぶた)を用いた手法を中心に麹を造っています。技術に加え労力と時間がかかるため、大吟醸など特別な酒の仕込みの際に使用されることが多い方法ですが、竹鶴らしい酒造りには欠かせません。

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熟成

江戸時代は新酒よりも「熟成」した日本酒が珍重されました。上方の好事家には伊丹・灘から一度江戸に出荷された日本酒を「富士見酒」と称し、買い戻して楽しむ者がいたほどです。
日本酒を適度な温度で丁寧に熟成させると、日本酒中の糖分とアミノ酸が反応して香りは円やかに、うま味には深さが加わります。この深さは「食をおいしくする」効果を高めます。竹鶴では新酒のまま販売する商品もありますが、ほとんどの日本酒を熟成させてから出荷しているのはそのためです。木桶仕込みならではの複雑味も熟成させないと表れません。「うま味」そのものの成分に加え、この深みの成分は褐色をしています。「食をおいしくする」竹鶴の特徴は色にも表われているのです。

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お燗

16世紀後半に清酒が生まれると、日本酒は季節に関わりなく1年中温めた「お燗」で飲まれるようになり、この習慣は 江戸時代を通じて続きました。ほのかな香りが立ち、酸味が強まる一方でまろやかになるなど日本酒自体の香味が整い、また「うま味」もその本領を発揮します。お燗は「食がおいしくなる」飲み方なのです。

江戸時代、日本酒消費の中心地である江戸で「江戸前」と呼ばれる味わい深い東京湾の幸を肴に日本酒の製法や飲み方は開発され、発展していきました。竹原の味わい深い魚介を活かそうとする私たちの酒造りに適しているのは、道理なのかもしれません。

新たな魅力の創造

芸南地方の先達は旧弊にとらわれず「吟醸酒」造りの基礎を築き、日本酒へ新しい魅力を吹き込みました。「伝統的手法」を踏まえた上でそこに安住せず、私たちも歩み続けます。

酸味の魅力

「日本酒なら和食の魚料理」とは言われますが、食生活は変わり肉類などの油脂分に慣れ、日本人の嗜好も変化しています。そんな現代に「食をおいしくする」ため、私たちが重視するのが日本酒に含まれる「酸味」です。酸味は油脂分を中和する効果があり、現代の嗜好において「食をおいしくする」私たちの日本酒造りには不可欠です。

しかし、雑菌に汚染されたときに増える酸味があることから、一般的には日本酒に酸味は少ないことが望ましいとされています。酸味は食欲を呼び、日本酒の味わいに爽やかさ、余韻、そして私たちの目指す食中酒に必要な「きれ味」も生み出します。日本酒に多いコハク酸も「うま味」の1つです。日本酒の骨格を作り、長期の熟成も酸味なくてはその時間に耐えられません。
私たちは平成14年(2002年)に敢えて酸味を多く醸した「清酒竹鶴 雄町純米」を発売開始し、この禁忌に問い続けています。またこの挑戦は「うま味」「きれ味」「酸味」が揃った竹鶴の味わいへと繋がりました。既成概念にとらわれず、ぜひ酸味の魅力をお楽しみ下さい。

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お燗するにごり酒

見た目から甘酒や雛祭りの白酒を連想させるためか、かつて日本酒のにごり酒には甘めのものが主流でした。甘みが多いお酒はそれだけで楽しむのには向いていますが、食中酒には難しい面があります。甘みが邪魔をしてお燗もできません。そこで私たちはお酒を最後まで完全に発酵させ、甘みを抑えた辛口の「清酒竹鶴 純米にごり酒」を平成15年(2003年)に発売開始致しました。
甘みを抑えていますのでお燗してもしつこさがなく、むしろ食中酒として本領を発揮します。また日本酒に残った米粒は緩衝材となり、日本酒が苦手であった唐辛子を使った辛い料理にも合わせることができます。
辛口の「お燗するにごり酒」は日本酒の新しい可能性を切り開き、多くの追従する酒蔵を生み出しました。先入観にとらわれず、ぜひ一度お試し下さい。

Timeline

1970

純米酒製造を復活。「純米 秘傳」発売開始。

2000

禁忌とされてきた日本酒中の有機酸が高濃度の製品を製造開始。

2003

「にごり酒のお燗」という新しい飲み方の提案。

2004

江戸時代に成立したが現在は廃れた製造法・生酛造りの復活。

酵母菌を添加しない江戸時代の生酛造りの復活。

2009

現在は廃れた木桶による仕込みを、広島県下で初めて復活。

「酵母菌無添加生酛造りの木桶仕込み」流行の発端となる。

2016

広島県では戦後初の、全商品が伝統的な日本酒本来の姿「純米酒」の酒蔵となる。

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TAKETSURU

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